定期的にオフィスに届けられるOL向けフリーペーパーで「シティリビング」というものがある。コスメ・グルメ・ファッションにとことんと疎いあたくしにはあまり縁のないものなので、たいてい30秒ぐらいでゴミ箱行き。
しかし、今回はひとつ、目をひいたものがあった。
それは、後輩のデスクに飾られたひな人形を見つけた先輩OLが、なぜそんな恐ろしいものを飾っているのだ!と絶叫する4コマ漫画。彼女は叫ぶ。
「少しでも片付けが遅れると、いかず後家になるという恐怖の人形!」
長年この「シティリビング」に目を通してはいるが、こんなに共感した記事を見つけたことはない。
そうだ、ひな祭りほど恐怖を誘うニッポンの風習はないだろう。
死んだおば〜ちゃんは、幼少のみぎり、あたくしが嫁に行き遅れないようにと、必ず3月3日の正午にはひな人形を撤収をしてくれていた。 それを見てあたくしは、自分の人生の前途は洋々であると信じて疑わなかったものだ。
しかし、おば〜ちゃんの体が思うように動かなくなってからは、ひな人形の出し入れは母の仕事となる。大学進学とともに実家を離れた最初の3月3日。あたくしは不安のあまり電話をした。
おか〜ちゃん!ひな人形、片付けてくれたっ?
「ていうか、だしてないけど?」
ぎゃ〜!
ちゃんと出して!いや、片付けて!いや、もう出さないで!ぎゃ〜!どうしよう!
あたくしがこんなふう(←深く聞かないように)になってしまったのは、すべてこの横着なおか〜ちゃんのせいだ・・・と思っていたが、そもそもこんな脅迫めいた風習はあるまいな。 だいたい、ひな祭りの歌も、嫁入りの歌だというのにやたら暗いし・・・
ああ、この風習を、どうかもっと明るく前向きなものにしてください。
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