A-CUP CLUB DIARY -SEASON THREE-



タケシくん、びびる


ウチのオフィスは私を含め全部でスタッフが7人いるが、日本人はあたくしとタケシのふたりである。
タケシは某一流大学工学部大学院出身、某有名一流企業に入社後今の会社に転職してきた。聞いただけですばらしいスペックだし、とてもいいヤツで、あたくしとは同じ年ということもあり、話題も近く仕事もしやすいのだが、惜しむらくはテツである。

まぁ、いまとなってテツはすっかり市民権をえているし、昔と違ってもはや隠すような趣味ではない。それどころか乗りテツでもあるタケシは、電車や路線の質問をすると、さらさらとみどころやうんちくをとても詳しく説明してくれるので、旅好きなあたくしにとって実に便利なヤツでもある。

さて、このテツのタケシが先日あたくしのデスクに近づき、言った

「JR北海道の事故の原因が何にあるか、考えてたんだけどさ・・・」

あぁ・・・やっぱりあの古い企業体質が問題なんじゃないの?

「ちがう。のろいだよのろい。」

へっ?

「明治の頃、北海道の路線開拓のときに働かされた人たちののろいだとおもう」

つか、いったいなんの話さ?

そう聞くと、取り出したのは一冊の本『常紋トンネル』。ああ、あの、囚人が奴隷のように働かされて最後は人柱にされたとかっていう・・・?もちろんテツのタケシにとってこんな話は以前から知った話。しかし今回あらためて本を読んで、おしっこちびっちゃいそうになったらしい。一方、霊感とか女のカンというものに全く無縁なあたくし。

はいはい、わかりましたよ。あたくしの次の旅行先決定。冬の常紋トンネル。

「うわぁぁぁ!やめっ!やめやめっ!行ってもいいけど、ヘンなもの連れてこないでくれよ」

あほな・・・

「とにかく、JR北海道はまずやるべきことをしないとだめなんだ!」

社内の体質改善?

「ここまで言ってまだわかんないのかよ?骨の発掘と供養だよ!」

こいつ、ホントにエリート理系卒なのか?

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2013年11月09日(土) No.316 (おしごと)