A-CUP CLUB DIARY -SEASON THREE-



ナンパ


昨年は立て続けに何度か海外出張があったが、5月にアメリカへ出張したときのことだ。

出発時の成田。ラウンジを出て搭乗口へ向かおうとするあたくしに、西洋人男性が声をかけてきた。

「あれはあなたのものでは?免税で買ったお化粧品のようですが?」

指をさす先はあたくしがそれまで座っていたテーブル。どうやらあたくしは免税で購入した妖怪変身キット(化粧品ともいう)を置き忘れていたようだ。

「まっ!ありがとう!忘れたら出張先で仕事にならなかったわ。ほほほ」

「そんなものなくても十分おきれいですよ」

と彼が言ったというのはおおウソだが、とにかく荷物をとって搭乗口に向かうと、どうやらその男性も同じ便と判明。雑談しながら機内に乗り込むと、その男性はあたくしのとなりにいた日本人男性になんと「席をかわってくれないか?」と声をかけた。

おおっと!これはナンパっ?!到着まで10時間あるけど、まぁかかってらっしゃい。ヤマトナデシコはそう簡単に手折れないないわよっ!

とあたくしはふふん・・・と鼻を鳴らした。

で?日本へはご出張だったのかしら?

「そう。そっちの席にも同僚がいる。みんな同じ××って会社で働いてるんだ。機内でまで同僚と仕事の話をするより、きれいな女性の隣の方がずっと楽しいだろう?」

まっ、正直ね・・・って、ちょっとまてぃ!いま会社名をなんと?

「××社。君は出張?」

あたくしも××社勤務です・・・(--;

「・・・・(--;」

あたくしたちは目を合わせ、そして心の中であたくしは、そして彼もきっとこう毒づいたはずだ

「身内じゃねーかよ!」

彼のナンパ作戦は、まだ飛行機が離陸する前、わずか5分で終了した。

その後現地のオフィスでこの話をし、みんなニヤニヤしながら言うことには・・・「あの便のビジネスクラスの半分は身内だぞ」

そうか〜あたくしも、今度ナンパするときは気をつけよう。つ〜か、しないってば。

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2011年03月27日(日) No.274 (おしごと)