右手に世界最強通貨「日本円」。左手には世界中どこでも行ける貴重な日本人パスポート。背中に小さいリュックを背負い、テストが終わるとその日の夜には機上の人。
それが放蕩の限りをつくした、ハタチ前後のころのあたくしである。
行く先々で、そらも〜いろんなことがあった。「なんなんだよ!この国は!」 「まったく英語しゃべれるやついね〜のかよっ!」なんて、泣きそうになるたび、本当に多くの人に助けられた。 もう連絡も取れない人ばかりだが、いまでも感謝の気持ちは忘れていない。
だから異国の地で困る人の姿は、自分に重なる。
なにやら、オフロードバイクに乗る西洋人カップルがあ〜でもないこ〜でもないとうなっていたのは、日曜日の東雲ライコランド駐車場でのこと。
日本国内での損害保険の加入したいが、どうしたもんか?ついでにバッテリーがいかれてる、さらにエンジンオイルも調達したい。などなどなどなど・・・
ライコの店員のおじさんが、あれやこれやと世話をやき、2人は「ありがとう」と何度も何度も繰り返す。旅の思い出に残るのは、きれいな風景でもおいしい食べ物でもなく、こういう親切だったりするものだ。
オーストラリアを出国し、オフ車に乗って世界1周の真っ最中のこのカップルは、これから新潟に向けてコマをすすめ、ウラジオストックへわたるそうな。
「会社?やめてきたよ。帰ったらどうしようかねぇ・・・はっはっはっは」
う〜ん・・オーストラリア人って感じがするわ〜。私なんか典型的なワーカホリック日本人よ
「でも、そのぶん休日が充実してるじゃないか。こうやってバイクに乗って友達と会ったりさ」
そうね。悪くないわね。でもいつか、私もバイクで海外まわってみたいなぁ。
・・・そんなことがいつできるのかわからないけど、このオーストラリア人の2人をみていると、あながち夢ではないような気になってしまう。お礼を言いたいのはあたくしのほう。夢とパワーをありがとう。
「ボクの彼女は、女なのにタフだろう?」
私もたいがいタフなほうだけど、彼女にはかなわないわね。
たくましいはずだ。だって彼女の名前は、あたくしの749sと同じ・・・そう、ローラだから。
Bon Voyage
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