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イナカの母がやってきた。
この人は週末暇になると「たまえが病気で寝込んでいるらしいからちょっと行ってくるわ」と父に大嘘ついて、突然車をとばしてやってくる。
くるのはいいのだが、あたくしはそのために大変なバトルの準備をしなくてはならない。・・・バトル・・・それはおよそ一般人には想像できない首都高出口のバトルだ。
母は首都高の地図はほぼ頭にはいっているが、都内の一般道を知らないので
「今日は新宿の出口でおりるからね。出口でまってて」 「今日は外苑よ、外苑出口ねっ!おりたところにいてちょうだい!」
などととんでもないことを主張する。そのたびに、あたくしは指定する首都高出口と一般道の合流地点まで走っていかなくてはならない。そして現れる車の姿を見つけると「おかーちゃーん!」と大手を振り、目の前に止った瞬間運転を代わらなくてはならない。この間約10秒。・・・なんとおそるべき母子の首都高バトル!
そもそも母は地図がちゃんと読める数少ない女性のひとりである。
ちなみにあたくしは一度通った道は絶対に忘れないという獣("けもの"です"けだもの"と読まないように)のような女であるが、これはおしっこをかけてマーキングしているわけではなく母から受け継いだ天性のものらしい。
ということで、母だって地図を片手に都内を走って指定の場所まで来ることができるはずだ。が、いかんせん都内の車の流れに慣れないので、「一人での運転は不安なの・・・」などとしおらしいことを言う。 が、要するにその後すぐショッピングなどをしたい母は、慣れない都内の道を自力で移動する時間的ロスも許さないだけなのだ。
こんなわがままも「あ、お米とか野菜送っておいたわよ」のひとことで帳消しになるゲンキンさも、きっと母のDNAに違いない。
ところで帰りはどうするかというと、来たときの逆パターンで、私は霞ヶ関料金所の30メートル手前や新宿の入り口手前の道路の真ん中で突然放り出されてしまう。 そして「じゃ、気をつけてかえんなさいよ!」ぶぉぉぉぉ〜と風のように去っていくのだ。
こんなところで娘を放り出して気をつけなさいはあるまいに・・・とがっくり肩をおとすたまえちゃんである。
まぁ、こんなふうに東京に遊びに来れるぐらいならまだまだ元気な証拠だわね。
2004年11月1日(月)
No.141
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